ひねくれてtonight 〜ひねくれサラリーマンによる映画レビューブログ〜

今夜もサラリーマンが詭弁を垂れる、皆さんはそれを読む。It’s win-win!!


映画「アルキメデスの大戦」のあらすじと感想です
ネタバレ御免です。観賞前の方はご注意ください


 



1.概要



「週刊ヤングマガジン」連載の三田紀房のコミックを原作にした歴史ドラマ。1930年代の日本を舞台に、戦艦大和の建造計画を食い止めようとする数学者を描く。監督・脚本・VFXを担当するのは、『ALWAYS』シリーズや『永遠の0』などの山崎貴。主演は『共喰い』や『あゝ、荒野』シリーズなどの菅田将暉。軍部の陰謀に数学で挑む主人公の戦いが展開する。(yahoo映画より引用)

2.あらすじ



昭和8年(1933年)、第2次世界大戦開戦前の日本。日本帝国海軍の上層部は世界に威厳を示すための超大型戦艦大和の建造に意欲を見せるが、海軍少将の山本五十六は今後の海戦には航空母艦の方が必要だと主張する。進言を無視する軍上層部の動きに危険を感じた山本は、天才数学者・櫂直(菅田将暉)を軍に招き入れる。その狙いは、彼の卓越した数学的能力をもって大和建造にかかる高額の費用を試算し、計画の裏でうごめく軍部の陰謀を暴くことだった。(yahoo映画より引用)

3.空母建造を目指す山本五十六、巨大戦艦建造を目論む造船技士・平山

満州事変を経て満州国を建国し、中国への進出を図った日本は、同じく中国での覇権を争う欧米列強との対立が深まり世界で孤立化をし始めていた。

帝国海軍ではいずれ必ず訪れるであろう戦争に向けて、新たな艦船の建造をめぐる会議が行われていた。
造船中将である平山らは「世界最大級の巨大戦艦」の建造を立案していた。

日露戦争での日本海海戦勝利以後、日本の海軍では「より大きな射程距離を持つ大砲を装備した、巨大な戦艦こそが海軍の王道である」という所謂「大艦巨砲主義」が幅を利かせており、過去最大級の戦艦を造ることは戦力のみならず、兵や国民の士気、期待も高まり、戦争の際の活力となると考えられていた。

一方、海軍少将・山本五十六(舘ひろし)は「これからの戦争は航空機戦闘が重要になる」と予見し、航空母艦(空母)を建造する「藤岡案」を支持。
また、山本は巨大戦艦を造り国民の対戦感情を煽ることは危険だと考えていた。

歴史を見ればこの時の山本の考えは先見の明があったと言えるわけだが、航空機戦闘の実績も乏しいこの時代ではこの考えは受け入れられにくく、また戦艦建造に対しては様々な既得権益や汚職が絡んでいたことから、保守的な形式である「巨大戦艦建造」の平山案に結論が進みつつあった。


山本らは平山案を覆すため、巨大戦艦の建造費見積もりに着目した。
サイズ、装備、造船ドックの増築費なども考えると空母(藤岡案)に比べて安い金額を提示していることは明らかに不自然であり、虚偽の数字であると考えたのである。

しかし、戦艦の正規の建造費を算出するには時間も情報も足りず、造船技士である藤岡にも困難であった
そんな折に彼らが出会ったのが天才数学者・櫂直(菅田将暉)
海軍と財閥の汚職に意見をしたことが原因で大学を退学させられ、料亭で芸者を相手にヤケ酒を食らっているところであったが、海軍少将である山本にも物怖じせず数学で口論をする櫂

料亭でのわずか5分足らずのやり取りでも彼の数学能力が人並み外れていることが垣間見え、山本は彼を主計局少佐として海軍省に入省させ、平山案の見積もり不正を暴く任務を依頼するのであった。

img_1b0a91611693c2b00c338a51aa8c5f7f97180
↑美しいものを見ると測らずにはいられない櫂直

4.大和の設計図を起す櫂、エンジニアとしての才能

海軍省に到着し早速見積もりに取り掛かろうとする櫂だったが、肝心の大和の仕様に関する情報がほとんどゼロであることを知る。
会議で出された情報は軍事機密であることから、直接関与していない櫂らには開示できないと言うのである。

そこでまずは本物の軍艦をこの目で見て、感覚をつかむことから始めようと、部下の田中少尉とともに横須賀に赴き、停泊中の戦艦・長門へ見学に行くことに

乗艦時、櫂は「戦艦というのは美しいものだなあ、人間はかくも美しいものを作り出せるものなのか」と漏らす
彼はこの仕事を受けることを渋ってはいたものの、徐々に戦艦に魅せられていく

長門の艦長は山本の旧友であることから艦に招き入れてもらうことが出来、さらに櫂は艦長の目を盗んで長門の図面を盗み見、描き写すことに成功

翌日、櫂はお気に入りのメジャーで長門の寸法を測り始めた

櫂「美しいものを見ると測りたくなるのは人間の本能だ。君はこの戦艦を測りたいとは思わないのか?」
田中「はい、まったく」
櫂「変わってるな!人として何かが欠けているのではないか」

多分田中少尉に何かが欠けているわけではない。
櫂が何かよくわからないものを持っているだけだろう

彼の言葉で少ししっくり来るものがある
なんでも自分で測ってみないと気が済まないのだ。こうして自分の手で測ることでその感覚をつかむことが出来る

これは明らかにモノづくりをする「エンジニア」の考え方だ
数学者であると同時に作り手としての才能も垣間見える

一日かけて計測をした櫂
そんな櫂のひたむきな姿に、当初は非協力的だった田中少尉も密かに計測に協力してくれていた
櫂と田中少尉が打ち解けていく様子はどこかハートウォーミングである

海軍省に戻り、次に櫂が取り組んだのは長門の図面を自分の手で起こすこと
そしてその感覚を元に大和を図面化することであった

櫂はなんと一晩で長門の図面を描き上げた
造船に関する書物を短時間の独学で概修したという

もう数学の天才とかじゃなくて造船設計の天才である

この所業によって完全に櫂のカリスマ性に魅せられた田中少尉はこの後櫂以上にひたむきに協力してくれるようになる
田中少尉は忠実なワンちゃんのようでとても一生懸命で愛すべきキャラクターである。

そして、長門の図面をもとにいよいよ大和の設計を行う櫂

「ついに敵が姿を現したぞ」

描き上げた櫂はそう漏らした

その言葉に、大和の巨大さ、想像もつかない創造物であることが窺える

かくして櫂と田中は大和の建造費を見積もるためのベースとなる情報をゼロから築いたのであった。
2a0dbbf73d9bcff84ce3e51d7705aa3a
↑エンジニアとしての才能を開花させる櫂

5.協力者を求め大阪へ、天才数学者のチカラを発揮

さて、見積もりをするには図面をもとに各工程にどれくらいの材料費、作業日数、人件費などがかかるのか、それらを示す「価格表」が必要であった。

しかしまたもそれらは軍事機密、内部から入手することは不可能であった。
協力者を民間の下請け企業に求め、各社と交渉にあたる櫂と田中

平山造船中将の協力者である嶋田の圧力がかかり、協力してくれるものは現れなかった。

そんな中、櫂のかつての教え子であり恋仲であった尾崎鏡子(浜辺美波)が情報をもたらしてくれた。
鏡子の父は造船業を営んでおり、かつて尾崎造船の協力業者であったが、汚職に意見して業界から追い出されてしまった大里を紹介してくれたのである。

大里は大阪に居り遠方だが、他にアテもない彼らは大阪へ赴く

かつて軍に干された経験のある大里はなかなか協力してくれないが、鏡子が直接赴いて説得を試みてくれたほか、たった一晩で大和の図面を描き上げた櫂の能力に惚れ、ついに協力を得ることができた。

あらゆる船、軍用船の価格資料をもつ大里の協力が得られ、大和の見積もりに取り掛かる櫂であったが、そこに海軍省から電報が届く

新造艦の採用案決定会議が早まり明日となったというのである。

一晩で見積もりを行うことは不可能、万事急すかと思われた

櫂はここで数学の能力を発揮する

艦ごとの鉄の総数量と製造費に相関関係を見出したのである
いくつかの艦の製造費の情報をもとに、鉄の数量からコストを算出する「回帰式」を導いた櫂

あとは大和建造に必要な鉄の総量を算出し、この数式に当てはめるだけ

夜行列車に飛び乗り車中で手分けして鉄の数量を算出する一行

大和建造費の算出まであと一歩という所まで迫った


6.会議室で繰り広げられるロジックバトル

会議までに算出が終わらなかった櫂らは会議室に作業を持ち込むが、決定ありきの会議は結論を急がれようとしていた
山本らは櫂たちの作業が終わるまで何とか引き延ばそうとするも会議は終盤に

櫂はここで時間稼ぎをするため自らの導いた「戦艦コスト回帰式」を披露

櫂によれば規模の小さい船や潜水艦は作業コストがかかるため鉄の量に対してコストが高くなる。
一方大きな戦艦になればなるほど鉄トン数/コスト比は一定になるという

この式を用いて、幾つか戦艦の実際の建造費をピタリ言い当てるという神業を披露した櫂
櫂の数学能力と論劇能力が発揮されるシーンである。

この間に田中が大和の鉄トン数算出を追え、大和の建造費を提示
平山造船中将の提出コストの2倍近い額がかかることを提示した

言葉に詰まり苦し紛れの言い逃れをしようとする平山勢。しかし当の平山本人は押し黙っている

大和の正確な建造費の提示がない限りは平山案を受け入れるわけにはいかない、と会議の決定は持ち越されるかに見えた

しかしここで平山が口を開く
「君は薄っぺらい正義を語っているが、世の中にはそんなきれいごとでは語れない誠の正義と言うものがあるのだよ。世界最大級の戦艦ともなれば国内のみならず敵国からも注目を浴びる。正確なコストを公表すれば必ず他の国の人間にも知れ渡ることになり、無用な警戒心を抱かせ戦争への感情を煽ることになってしまう。敵を欺くにはまず味方からだ」

虚偽の金額は大和の建造規模を他国に知られないようにするためのカモフラージュだ、という

平山は本心なのか咄嗟の詭弁なのか、非常に理にかなった理由を示したのである。
これには櫂をはじめのその場の全員が閉口した。

新造艦は平山案の巨大戦艦・大和に決してしまった

~ひとこと感想~
平山造船中将を演じるのは田中泯さん
このシーンの平山の語りはすさまじい世界観を感じた。
菅田将暉さんが痛快なしゃべりで議論を支配していくのとは対照的で、
田中泯さんは静かに、重みのある言葉で、整然と語る感じだ

彼の言葉が本心なのか、詭弁なのかも、あの無表情で語られると推し量れず、どのように反論すべきか迷ってしまうし、当然理も通っているから尚のことである。

これぞ天才・櫂直の宿敵に相応しい相手と言える、名演技であった


7.最後はやはり数学で!櫂は平山に勝つことが出来たのか

苦労してやっとの思いで見積もりの不正を暴くことが出来た櫂であったが、平山の言葉一つでそれが簡単にひっくり返されてしまった。
自分が信じていた「数字」の無力さを思い知らされた櫂は打ちひしがれてしまう

ふとそこに置かれていた大和の模型を見て櫂はあることに気づき、平山に問う

海洋波はどれくらいの高さを想定して設計をしましたか?

櫂が言うには
台風などで高波が発生した際、大和ほどの全長を持つ巨大戦艦の場合、波と波に跨るような形になり、これに耐えるよう船体を設計しなければならない

波の高さや位置などには様々な組み合わせがあり、それらすべてを網羅した最適な船体を設計するために櫂は新しい数式を導き出したというのである。

大和が前人未到の超巨大戦艦であるが故に、長年軍艦を設計し続けてきた平山でも、気づくことが出来なかった盲点であった。

致命的な欠陥を抱えた船を設計してしまったことで平山は敗北を認め、自ら案を取り下げる

最後の最後に、櫂は自分の一番の武器である「数学」によって平山に勝ったのであった

かくして新造艦は藤岡案の空母に決したのである

8.では大和は?平山が語る大和が背負うべき悲しき運命とは?

平山案は取り下げとなったが、大和は実際に建造されている
そこには平山と櫂の最後のやり取りがあった

大和の設計を完成させるための数式は櫂が持っている
平山は自身の設計室に櫂を呼び出した

そこには大和の1/20模型が置かれていた。
平山は言う
美しかろう。君は既にその手でこれを生み出したことがある。君も本心ではこの船が出来上がる姿を見たいと思っているはずだ

これには櫂も心を揺さぶられる
しかし櫂は「この戦艦は日本人の大戦感情を煽り、戦争に向かわせる。生み出してはならない」と理性でその感情を抑えつけた

平山は続ける
この船が出来ようと出来まいと、戦争は起こる。世界情勢とこの国の民の感情はもう止まれないところまで来てしまった。
日本人は誇りに生きる民族だ。一度戦争となれば最後の一兵まで闘い、日本という国が亡びるまで闘いを辞めないだろう。しかし、その時この船があればどうだ?
絶対に沈むことがない、日本を象徴するような戦艦が撃沈された時、日本人は敗北を認め、闘いを辞めることが出来るのではないだろうか?この船はそんな日本人の心の依り代となる船なのだ


平山は沈むため、戦争に負けるために大和を造らなければならないというのだ
あまりの考えに言葉を失う櫂
平山の言葉にはきっと嘘はない
でなければこれほどの説得力があろうはずがないのである

遂に櫂は平山の説得を受け入れ数式を渡す


数年後、大和の進水式には櫂も出席していた
沈みゆく運命を背負って作られた大和の姿を見て「この国の行く末そのものを見ているようだ」と涙を流すのであった

9.今も輝き続ける大和

この作品は何かものづくりのような仕事に取り組むにあたって必要なものが詰まっていると感じた。

まず櫂は元々数学者でありながらひょんなことから戦艦の設計をすることになった

戦艦を間近で見てその美しさに魅了され、居てもたってもいられなくなって自分で設計をしてみるのである。
好奇心をガソリンにして仕事に取り組めるというのは実に素直で一番効果的なはずだが、今の世の中にはそんな純粋な気持ちで取り組める仕事の何と少ないことか

櫂のようにそこに美しさなり、面白さなりを見出す癖をつけるようにしたいものである

また、その好敵手である平山造船中将はと言えば、彼はひとえに使命感をもって戦艦を造っていると言える。大和を作る意味を見出し、それが如何に悲しき宿命であっても役割を全うするのである。

彼は造船設計ビギナーの櫂に対しても素直に負けを認め、案を取り下げるという器の大きさも持ち合わせていた。

その道の第一人者である男こそかくあるべきという姿だ
部下を持つ世の中のおじさんたちに、ぜひ見習ってもらいたい人間像である


大和は帝国海軍のシンボルとして軍や国民の心の支えとなるも、巨大戦艦であるが故に出撃にも莫大なコストが掛かることなどから、結局活躍する機会もないまま沈められてしまった哀しき戦艦である

それでも今日に至るまで日本人に語り継がれ、こうしてエンターテイメントのモデルとなっている
これはもう日本の象徴として大和がその役割を果たすことが出来たといってよいのではないだろうか

大和には、これからも近代日本史のシンボルとしてあり続けてもらいたいものである。
ああ、現代に残っていてほしかった



菅田将暉さんの他作品はこちら↓

 




今日からアニメ「四畳半神話体系」のレビューを書いていこう。

このアニメはなかなかどうしてクセが強い

何度見ても飽きないし、最終話まで見終わると

「よし、おれも頑張ろう!」と色んな事に前向きに取り組めるようになるのである。

自分のやる気が下がっている時に見返すことを習慣化すれば毎日がバラ色のキャンパスライフになること請け合いだ

このアニメの面白さを忘れないためにも書き綴っておきたいのである

では始めよう
八面六臂のアニメレビューを!




1.猫ラーメンにて縁結びの神と遭遇

このアニメは主人公の一人称トークで流れるように進んでいく
第1話はまずこの世界観に慣れることからか

いきなり樋口師匠と主人公「私」が猫ラーメンで出会い、ヒロインの明石さんや物語のキーマン小津の名前も登場する。

樋口は初対面の「私」に対して「自分は縁結びの神である」と名乗り、
君か小津君、どちらかを明石さんと結びつけるつもりだ、どちらにする?
と問いかける。

まず主人公は樋口のこの話を何の疑いもなく信じるのだが、この時点ではこのアニメの世界観が分からないので
「神様とかがちょくちょく出てくるそういう世界か~」

くらいに思ってこちらも受け入れてしまう。
「私」は奥手であるがゆえに頭の中で御託を並べてその話を辞退する方向に自分の思考を持っていこうとするが、
もう一人の候補とされる小津とだけは絶対にくっつかせてはならないと考える

何故なら彼のキャンパスライフが荒んでいったのは小津のせいだからである

バラ色のキャンパスライフを夢見てテニスサークルキューピッドに入部したものの、
周りのテニスサークルの面々のような社交性には乏しく、またテニスも初心者の彼はサークルになじめずにいた。

そこに現れたのが小津である。
ぬらりひょんのような風体のその男はおよそまともな人間には見えなかったが、サークルで浮いていた私はそんな男と意気投合してしまったのであった。

サークル内恋愛が盛んなテニスサークルキューピッドにおいて小津と私は協力してあらゆる恋路を邪魔するキューピッドとなっていく。

そんな人の不幸を演出するような不毛な大学生活を送ってしまったのは小津のせい

明石さんをそんな小津とくっつけるわけにはいかない


ちなみに明石さんとはだれか

「私」の大学の一個下の後輩であるが、
彼女と私は下鴨神社の古本市のアルバイトで出会っていた。

明石さんは中身のない会話が嫌いなのか、「休みの日何してるの?」と他のバイト男に聞かれても
「なぜ答えなければならないのですか」
とつっけんどんに返すような女性である。

「私」はそんな明石さんに「明石さん、そのまま自分の道を突き進め」と心の中でエールを送った。

そんな明石さんと休憩中二人で話す機会があった。
彼女は私の勧める猫ラーメンに「一度食べてみたいものです」と興味を示してくれ、私に対しては何故か敵がい心をあまり持っていないようである。

彼女は蛾が苦手で、突然現れた蛾にびっくりして「ぎょえぇぇーーっ!」と普段からは想像できない悲鳴を上げて倒れる

お気に入りの「もちぐマンのストラップ」を握りしめて気持ちを落ち着かせるといった女の子らしい一面も持っていたことがわかり二人は割と親しくなったようであった。

もちぐマンを一匹無くしてしまったという明石さんに対し
「なあに、地球は丸いのだ、いつかまた会える。何なら私が探してあげても良い」
と柄にもなく頼れる言葉を自然にかけていた「私」

やっぱりまんざらでも無いのか

明石さんは自分という人間に理解を示してくれる貴重な女性ではあるが、自分は明石さんに恋愛感情を抱いているわけではない。

人恋しさにそんな話に飛びついて良いものか
しかし小津とくっつくことだけはダメだ

意を決して樋口のもとに向かい、
「小津はダメです。私にしてください」と懇願

樋口はそんな私に対して
「五山に訪れる明石さんを逢引に誘いなさい」と促す。

まさかそんな正攻法で行かなければならないとは思わず、明石さんとすれ違っても挨拶を交わすことしかできなかった私
私にしてはよくやった。今日はここまでだ

そこになぜか女装をした小津が現れる
「今日はここまでとか思ってるんじゃないでしょうなあ?神の言葉に逆らわず、とっとと恋路を走りやがれ!あんたが神に逆らうのならここから飛び降りてやる」

どうやら縁結びの神も小津の回し者であることに気づくが、その直後、小津は怒りに狂った群衆に突き落とされてしまう。
小津の仲間とバレた私も橋から突き落とされる。

テニスサークルキューピッドに入部して小津と出会ってしまったことが運命の分かれ道であった。

出来ることなら入学当初に戻りたい


ここで時計台の針が巻き戻り、第1話は終了である

2.全話観賞後に考察する第1話の意味


この物語はこんな感じで一話ごとに違った大学生活を送る主人公のパラレルなお話を楽しむものだ。
しかし彼の大学生活には必ず小津と明石さんが関わってくる点が面白い。

小津と私は第1話でこんなやりとりをしている。

「どうせあなたはどんな道を選んだって今みたいな有様になっちまうんだ。
いずれにせよ私はあなたに出会って全力であなたをダメにします」

「どうしてそこまで私に構うのだ?」

「私なりの愛です(ニヤリ)」


最終話まで見た人ならこの言葉の意味が分かることだろう。
小津は私のことを本当の友達だと思っているし、「私」が自分らしいキャンパスライフを送れるよう、いつも一緒にいてくれたのであった。

そして彼が明石さんと結ばれるよう、彼なりにあらゆる手を尽くしてくれる
そんな目線で見てみると、小津が何ともいいやつに見えてくる。

だから四畳半神話体系は何度でも楽しめるアニメなのである。


3.明石さんとの恋路は

私と明石さんは第1話の時点で結構いい雰囲気であるが、二人の関係は遅々として進まない

キーファクターである
・もちぐマン
・蛾
・占いババ
は全てのエピソードに登場し、
そしてなぜかいつも「猫ラーメン」に明石さんを連れていく約束をする

私は2話以降あらゆるサークル活動やアルバイトに取り組み様々なキャンパスライフを送ることになるがそれらはことごとく思うようにいかない

しかし本当に彼女と結ばれるためには自分を着飾る必要はなく、ただ彼女を猫ラーメンに誘う、その約束を果たすだけで良いのである。

これに気づくのにどれだけかかったことか

しかし現実もそんなものかもしれない

「あの時こうしていればもっと楽しい人生が歩めたかも」

なんて皆が思うことだが、実際のところは無理して背伸びをしたって結果は変わらない
過去をうらやみ自分らしくないことをするよりも


目の前にある
好機を掴むこと

が幸せへの一歩なのである


小津はそのことが分かっていたからどの世界でも「私」を全力でダメに(私らしい姿に)したうえで、いつも明石さんと結びつけようとしてくれていたのだ

1話の感想なのに全話の感想みたいになってしまった。






1.概要

多くの関係者への取材を基に書かれた門田隆将のノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」を実写映画化。世界を震撼(しんかん)させた東日本大震災による福島第一原子力発電所事故発生以降も現場に残り、日本の危機を救おうとした作業員たちを描く。『64-ロクヨン-』シリーズなどの佐藤浩市、『明日の記憶』などの渡辺謙らが出演。『沈まぬ太陽』などの若松節朗がメガホンを取り、ドラマシリーズ「沈まぬ太陽」などの前川洋一が脚本を務めた。(yahoo映画より引用)

2.あらすじ

2011年3月11日午後2時46分、マグニチュード9.0の地震が発生し、それに伴う巨大な津波が福島第一原子力発電所を襲う。全ての電源が喪失して原子炉の冷却ができなくなりメルトダウン(炉心溶融)の危機が迫る中、現場の指揮を執る所長の吉田昌郎(渡辺謙)をはじめ発電所内にとどまった約50名の作業員たちは、家族や故郷を守るため未曽有の大事故に立ち向かう。(yahoo映画より引用)

3.あの時私たちが直面していた危機

3.11東日本大震災発生
あの時私たちは自分たちが避難することに精一杯だった。

関東圏内でも震度5弱~6強を観測、リアルな身の危険を感じて皆戦々恐々としていた。

テレビで地震情報を見ていると東北地方の津波被害の映像が流れ、

今回の災害の甚大さを痛感、追加の被害情報から目が離せない状況の中、

福島第一原発」の事故情報が流れてきたのである。

その時私たちのほとんどは「この事故がどれくらい深刻なものなのか」理解できていなかった

ともすれば東日本全体がヒトの住めない土地になってしまっていたかもしれない

そんな日本という国の存亡がかかった「あの時間」を私たちはもう一度「体感」し、後世に語り継がなければならない。

この映画は全日本人、全世界の人類が「福島第一原発事故」を再認識するための完璧な資料であり、誰かに伝えるための教科書なのである。(迫真)

4.津波による全電源喪失 ステーションブラックアウト(SBO)

原子力発電は核分裂により発生する膨大な熱を利用してタービンを回し発電する方法だが、この「熱量」というのはガスコンロのように人間がツマミ一つで簡単にコントロールできるものではない

一度反応が起きれば収まるまでに時間がかかるし、その間冷却をし続けなければどんどん温度が上昇して溶け出してしまったり、ガスが充満して格納容器が爆発してしまう。

それゆえに非常時には対応マニュアルが用意され、あらゆる不測の事態に対応できるよう準備がなされているはずだった。

しかし想定をはるかに超える「大津波」により主電源、非常用電源を失い、原子炉を制御するための冷却水を送る「ポンプ」が動かせなくなってしまった。

それだけではなく、計器類、照明に至るまで「全電源」を喪失したのである。

それがどれほど逼迫した状況なのか、原子炉を間近でコントロールする「中操」の面々のドラマで体感してもらいたい。
彼らは暗闇の中、原子炉建屋に突入し手動での「ベント」を行う

放射性物質の線量が高く、入っただけで被爆する。
原子炉建屋内は私たちが日々生活する中ではおよそ味わうことのない「恐怖の空間」である。

建屋内の様子の再現度や役者の皆さんの迫真の演技で、それがどれほどの恐怖であったかが伝わってくる。

伊崎当直長(佐藤浩市)がベントへの志願者を募った際、
自分が最初に行く、誰か後に付いてきてくれる者はいないか
と問うシーン

皆が涙ながらに手を挙げ、「自分が行きます」と。

実はこんなシーンは日本の映画ではよく見るのである。
アルマゲドンとかでも見たことがあるシーンだ。

しかしそれらとは何が違うかといえば、この映画は「ノンフィクション」だということだ

原作者:門田隆将氏は多くの当時の関係者に取材し生の声を記録に残しているし、
何よりこの事故はわずか9年前に起きた出来事であるから、当時の様子がまだ色あせておらず、こんなハリウッド映画のワンシーンのような話は、本当にあったやりとりなのである。

心なしか役者さんたちの演技も「本当にあった会話」であることから感情の入り方が違うようにも見える。
確かに、実際のエンジニアの方々の様子を思い浮かべながら演じたら、演技でない本当の涙も出そうだ。

死を覚悟して日本を救おうとした人たちの姿が、十分すぎるほどに伝わってくるシーンであった。

5.吉田昌郎所長とFukushima50

福島第1原子力発電所の所長である吉田昌郎氏
彼はあの事故で何と戦ったのか
発電所の職員、協力会社の人たちがどんな状況で奮闘したのか

吉田所長は現場のトップで事故対応の指揮を行っていたわけだが、
東京電力本店や政府(官邸)が要所要所で「保身」や「事なかれ主義」により適切でない指示を挟んでくる。

さらには現場が紛糾するなかでの「総理訪問」である

吉田所長はそれら一つ一つと戦いながら事故とも戦っていた

この映画を見るとあの逼迫した状況でこれだけ多くのものと戦い抜けるなんてどんな人物なんだと思う。

こういうシーンも日本の映画ではよく見るのである
特に戦争ものなんかでは必ずあるシーンである。

日々命懸けで戦う兵隊さんならばそれくらいの胆力を持ち部下思いになることもあるのかもしれない。
部下からの人望も厚くなるのも頷ける

しかしこれはわずか9年前に本当にあった出来事なのだ
私たちが生きるこの時代に本当に実在した人物だ

少なくとも自分の身の回りにこれほどの人物はいない

むしろ東京電力のような大企業の上司であれば保身や事なかれ主義で部下に負担を押し付ける人ばかり
およそその上司のために命を懸けるような自己犠牲の精神なんて身に付かなそうである

2号機のベントが難航し、いよいよ爆発がいつ起こってもおかしくない、という状況下
爆発が起これば東日本全体が死の土地となってしまう

その状況下で最も危険な場所に最後まで残った50人を世界は「フクシマ50」と呼び、称えた。
彼らは何故自分の命を危険に晒しても残ることが出来たのか
世界の人々にはそこが理解できないという

彼らは
日本を救うことが自分の使命であり、
フクシマを守ることがひいては自分の家族を守ることになる。
そんな精神で一人一人が戦ったのだという。

フクシマ50を観て、
今まで映画や小説などで見てきた
日本人の自己犠牲の精神」は実在したのだと初めて確信できた

フクシマで戦ってくれた人たちに私たちは感謝しなければならないし、自分がその役割となったときには、同じように命懸けで自分の責務を全うしなければならない。

この映画を観たら、明日からの自分の行いに対しても、一つ一つ襟を正して取り組めることができそうだ


↑このページのトップヘ