ひねくれてtonight 〜ひねくれサラリーマンによる映画レビューブログ〜

今夜もサラリーマンが詭弁を垂れる、皆さんはそれを読む。It’s win-win!!

2019年09月

今日は映画  清須会議のレビューです




1.概要



数々のヒット作を作り出してきた三谷幸喜が、およそ17年ぶりに書き下ろした小説を自ら映画化した群像喜劇。本能寺の変で織田信長が亡くなった後、織田家後継者と領地配分を決めるために、柴田勝家や羽柴秀吉らが一堂に会した清須会議の全容を描く。役所広司演じる勝家と大泉洋ふんする秀吉の主導権争いを軸に、それぞれに思惑を秘めた登場人物たちが駆け引きを繰り広げていく。そのほか佐藤浩市、妻夫木聡、浅野忠信、西田敏行ら豪華キャストが勢ぞろいする。

2.あらすじ

本能寺の変によって織田信長が亡くなり、筆頭家老の柴田勝家(役所広司)と羽柴秀吉(大泉洋)が後見に名乗りを上げた。勝家は三男の信孝(坂東巳之助)、秀吉は次男の信雄(妻夫木聡)を信長亡き後の後継者として指名し、勝家は信長の妹・お市(鈴木京香)、秀吉は信長の弟・三十郎信包(伊勢谷友介)を味方にする。そして跡継ぎを決めるための清須会議が開催されることになり、両派の複雑な思惑が交錯していく。
(yahoo映画より引用)

3.三谷映画きってのキャラクターもの



本作は実際の歴史上の出来事である「清須会議」を題材にコメディタッチに仕上げたエンターテイメントです
当然登場人物は歴史上の人物ばかりになるわけですが、これは実は結構難しくて、真面目に忠実に描こうとしてもコメディにならないし、あまり実際の人物像とかけ離れると「これ誰?」となってしまいます

三谷幸喜さんはこの辺が絶妙で
「この柴田勝家愛らしいな〜」とか
「この信長ちょっとコミカルだなw」とか、

元の人物像を壊さない程度にコメディキャラクターに昇華させてくれているので、歴史好きでも「ライトな時代劇」として楽しく見られます
大河ドラマの真田丸なんかは正にこの雰囲気でしたね
歴史上の人物が普通のおじさんみたいで親しみが感じられます

真田丸はTUTAYAディスカスで見られます↓


4.猛将 柴田勝家 → 単細胞で怒りっぽいおじさんへ昇華

清須会議にて織田家の覇権を争うことになる「柴田勝家」は役所広司さんが演じます。
柴田勝家と言えば織田家が若手ベンチャー企業の頃から信長を支え続けた戦屋ですね
さぞや厳格で義理人情に厚く人望もあったのだろうと思いきや

清須会議では
・単細胞
・周りを説得しようとするが空回り
・自分では策を考えず丹羽長秀にも呆れられる
・うまくいかないと腹を立てて声を荒げる
といった感じで、現代で言う所の
「考え方の古い頑固なおじさん」として描かれています。
こんな勝家を見ていれば「秀吉に覇権を奪われても仕方ないなあ」と思わず納得してしまいますね
これまでで一番人間味のある柴田勝家でしょうね

三谷映画ではこんな感じで「普通のおじさん」をコミカルに描くことが多いように思います。
(「素敵な金縛り」の西田敏行さんしかり)。

5.秀吉はイメージ通り?大泉洋さん、はまり役



豊臣秀吉と言えば気さくで人の心を掌握するのが上手、しかし腹の底ではいろんなことを企んでいる策士、人たらしというイメージです。
大泉洋さん演じる秀吉は、おべんちゃらを言う時の言葉の軽さや土壇場の機転など、個人的には結構イメージ通りという感じです。
私なんかは「豊臣秀吉は大泉洋さんみたいな人だった」と勝手にイメージを持ってしまいましたね。



その他にも
・コワモテ軍司として描かれる黒田官兵衛が子供に泣かれるシーン
・清須会議に遅参した滝川一益が一人で走り続けるシーン(更科六兵衛と出くわします)
・織田信雄(妻夫木聡)のダメ男っぷり
・秀吉も勝家もお市の方が好きで言い寄るも振られる
など人物像や逸話を生かした笑いがふんだんに混ぜ込まれています。



6.事件は会議室で起きてるんだ!

~事件は会議室で起きてるんだ!~
清須会議は正に「会話劇

大泉洋さんや小日向文世さん、佐藤浩市さん、伊勢谷友介などの論劇巧者な役者さんたちが繰り広げてくれています。

信長亡き後の織田家の覇権を羽柴秀吉vs柴田勝家の構図で争うわけですが
勝家はいち早く後継者候補の織田信孝を味方に引き入れます。
信孝の兄である信雄はおバカさんでとても跡目の器ではありませんが、秀吉は仕方なくこちらを立てることにします。

会議までの間、秀吉と勝家は味方を増やそうと画策をしますが、
秀吉は信雄のダメさに振り回され、彼を推すことの説得力の無さに苦心し、
いっぽう勝家は自身の無策を周りに呆れられ思うように優位に進められず、
お互いに難航します。


勝家は盟友である丹羽長秀が味方でしたし、有力な信孝を立てていたため自信満々でしたが、実際には秀吉の策略により少しずつ外堀を埋められていました。

秀吉は丹羽長秀や池田恒興を実質味方につけたもののやはり旗印がダメ男の信雄であることがどうしても不利に働くと考え、起死回生の一手を思いつきます。

それは信長の嫡孫である「三法師」を跡目に推すことでした

信長の正当な跡目と言える三法師を味方にし、完璧なロジックを構築した秀吉は自信満々で会議に臨みます。

エンジンフル稼働の秀吉の議論はスカッとするものがあり、大泉洋さんはこの辺りの演技が本当にうまいですよね。ノーサイドゲームなんかでもブイブイでした

・秀吉の口達者ぶりに圧倒され大声でごまかす勝家
・秀吉の案に乗りながらも勝家にも気を使いながらのらりくらりやる池田恒興
・旧友である勝家に味方したいが、明らかに秀吉有利であり葛藤しながらも心を鬼にして勝家を裏切る丹羽長秀

4者が生み出す緊張感がウマウマです

会議が終了し秀吉勝利が決した後も
・前田利家と秀吉の友情
・長秀と勝家の友情
・お市の秀吉への因縁

など心にグッとくるシーンが満載で、最後までキャラクター勢を使いきっています

とにかく最後まで笑いを交えて描いてくれていますので、
歴史ものを見られるようになりたいけど抵抗がある」という方は「清須会議」から始めてみると良いかもしれませんよ~

また、登場人物は皆それぞれの話し方、立ち回り方で論劇に参加しているため、
議論が苦手」という方、「清須会議」を見て自分にあった議論のスタイルを研究してみると、何か得られるものがあるかもしれませんね

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三谷幸喜さんの他作品はこちら↓










素敵な金縛り







概要


『ザ・マジックアワー』の三谷幸喜監督と深津絵里が再び手を組み、痛快なドタバタ劇に挑戦した法廷ミステリー。ある殺人事件の弁護を依頼されたダメ弁護士が、落ち武者の幽霊を証言台に立たせようと四苦八苦する姿を活写する。俳優陣も西田敏行に阿部寛、竹内結子に浅野忠信に中井貴一と超豪華。三谷監督お得意のコメディーの要素を随所に散りばめながらも、笑いに涙にサスペンスに幽霊の出現までありの摩訶(まか)不思議な物語にくぎ付け。 
(yahoo映画より引用)


あらすじ



失敗が続いて後がない弁護士のエミ(深津絵里)は、ある殺人事件を担当することになる。被告人は犯行が行われたときに自分は金縛りにあっていたので、完ぺきなアリバイがあると自らの身の潔白を主張。エミはそのアリバイを実証するため、被告人の上に一晩中のしかかっていた幽霊の落ち武者、六兵衛(西田敏行)を証人として法廷に召喚させるが……。
(yahoo映画より引用)


 

三谷映画+プチ時代劇



本作は西田敏行演じる幽霊の「更科六兵衛」に現代の裁判で証言をしてもらう、というお話。

この
・戦国武将で
・幽霊で
・現代のことにも少し精通している

という難しい役柄を西田敏行さんは見事に演じ切っています。

登場時点では
「しかばね荘」という心霊旅館に居り、そこである男(深津絵里さんの受け持つことになる容疑者)の上にまたがり金縛りを掛けた、というまともな幽霊みたいな行動をしているわけですが、いざ深津絵里さんに出会い「裁判での弁護」を頼まれると
・今回の裁判は裁判員裁判となるのか
・腹が減ったからファミリーレストランによってくれ
などと普通のおじさんみたいなことを言い出すので、そのギャップが笑えるのです。


っていうか幽霊ってその場所からあまり動けないものなんじゃないのかよw
普通に自由に車移動しちゃってるんだけどw



深津絵里さん 永遠の少女感

主人公は深津絵里さん演じる若手弁護士
裁判では失敗ばかりで新米感の抜けないキャラクターですが、ここで新垣結衣さん等の若手女優ではなく「深津絵里さん」という所がミソですよね
三谷喜劇のような絶妙な空気感から笑いを生んでいく映画ではやはり深津絵里さんくらいの年季が無ければ務まらないでしょう

ベテラン女優にも関わらずあのあどけなさ、頼りなさ、純真さを完璧に演じています

最近あまり見かけない気がしますが、また出てほしいですね


幽霊とともに成し遂げるサクセスストーリー

初めは他の人達には見えない「幽霊」にどうやって証言させるか
が主題になっており、
「上手いことやって証言させて終わりかな?」と思いきや

・中井貴一さん演じる検事も実は六兵衛さんが見えていること
・小日向文世さん演じる謎のエージェントの登場
などの要素により予想を上回る面白い展開に発展していきます


六兵衛さんを証人として認めてもらうことは出来るも、その後の
「幽霊が見える裁判」ならではの思わぬ展開に目が離せません

六兵衛さんと深津絵里さんの友情が深まっていく様子もハートウォーミングでなおよし

三谷喜劇がぎゅっと詰まった良作です
是非ご覧下さい

三谷幸喜さんの他作品はこちら↓




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今日は堺雅人、大泉洋、佐々木蔵之介のトリオが送る伏線回収映画
「アフタースクール」の紹介です。





~概要~
長編デビュー作『運命じゃない人』がカンヌ国際映画祭4部門を受賞したほか、多数の映画賞に輝いている内田けんじ監督による新感覚エンターテインメント。30代になった、かつての同級生たちが織り成す“大人の放課後”を、細部まで練り込まれた脚本と巧みな構成で描く。映画やテレビ、演劇と各界から注目を集めている大泉洋が主演を務め、佐々木蔵之介、堺雅人、常盤貴子など実力派キャストが共演。予測不可能な展開で観る者を翻弄(ほんろう)する内田監督の手腕が光る。
(yahoo映画より引用)


~あらすじ~
母校の中学で働く教師、神野(大泉洋)のもとに、かつての同級生だと名乗る探偵(佐々木蔵之介)が訪ねてくる。探偵は、神野の幼なじみで今は一流企業に勤める木村(堺雅人)の行方を追っていた。心ならずも木村探しに巻き込まれるうちに神野の知らない木村の姿が明らかになり、事態は誰もが予想しない展開に向かっていく。
(yahoo映画より引用)


~ローテンション伏線回収映画、内田けんじ監督のお家芸!~
この映画は「伏線回収映画」です。
登場人物は

・木村(堺雅人)
身重の妻を置いて突如姿を消す。一流企業に勤めるサラリーマンだが、何者かに追われているらしい

・神野(大泉洋)
木村の親友。木村の妻とも親しく、不在の木村の代わりに彼女の出産に立ち会う。
母校の中学校で教師をしている。

・北沢(佐々木蔵之介)
裏社会の仕事を請け負う私立探偵。木村の勤める会社の人間から木村捜しの依頼を受ける。
同級生を装い彼の母校を訪ねた際に神野に出会い、木村捜しに神野を巻き込む


・木村の妻(常盤貴子)
物語序盤で仕事に向かう木村を見送り、木村がいない間に産気づき出産。神野を信頼している。



神野と探偵の北沢が木村を追う過程で裏社会の人間にたどり着き、彼が良からぬ事に関わっている事が少しずつ明らかになっていきます
木村を信じている神野、人間の闇を知り「人間なんてそんなもの」と冷たく言い放つ北沢。
母校で教師をする神野に対して
・世間知らず
・早く中学を卒業しろ
と嘲笑います。

神野は木村に騙されていたのか、木村は今どこにいるのか
映画の後半ではそれまで配置されていた様々な伏線が回収されていきます。


前半とは全く雰囲気の違う映画になっていきますので、退屈に感じても最後までぜひご覧になってください。
by カエレバ

内田監督の他作品はこちら↓






以下、ネタバレありです↓
~伏線回収の後編、誰が誰をだましていたのか~
北沢と別れ自宅に戻った神野の目の前には失踪したはずの木村がいました。
なぜ木村が?神野も普通に話しているし・・・
ここから前半の種明かしがされていきます。

前半は神野が北沢をだましていたと同時に映画の製作陣が私たち視聴者をだましていたのでした。



木村の妻だと思っていた女性が実は物語のキーマン

彼女は木村と神野の同級生で、裏社会から追われていました。
彼女こそが北沢が手掛かりとして追っていたサノミキだったのです。

彼女をかくまうために木村は夫婦を装い、神野とともに彼女が無事子供を産めるよう見守っていました。


さらに木村と神野の裏では警察がサポートしており木村の勤める会社の社長の罪を暴くために木村達の協力を得ていました。

これまでの登場人物たちの中に捜査官が紛れ込んでいたことがここで明かされ、前半の各シーンの種明かしがされていきます。

この辺りで私たち視聴者は「やられたー」となってまんまと製作陣の思惑通り、という感じになるわけですが、内田けんじ監督の映画はこのどんでん返しに加えてソフトなヒューマンドラマをブレンドして良い後味をのこしてくれます。


神野は真相に気づいた北沢と再会し、中学の教室で種明かしをしますが、
物語前半で「早く中学を卒業しろ」と神野を嘲笑った北沢に対してここで意趣返し

「お前みたいな奴はクラスに必ず一人はいる。勝手に世の中を自分のものさしで斜めから見て、学校つまらない、などと言う。でもそれは自分自身でつまらなくしているだけだ。」

中学時代を卒業できていなかったのは北沢の方、

「世の中を斜めから見てしまう人は大人になれていない、子供のままだ」
というメッセージでもありますね


サノミキと神野は初恋の相手同士で、映画のラストで一緒になるわけですが、

ウチダ監督は私たちに
「中学を卒業しろ」
と言ったり
中学時代を懐かしませるような結末を持ってきたりと、観賞後にスッキリと眠れるような絶妙なラストにしてくれていますね。


学生時代の思い出を振り返りたいときなどに、良い映画かもしれません。












「人間失格 太宰治と3人の女たち 」のレビューです









~概要~
「走れメロス」「斜陽」などで知られる作家・太宰治の「人間失格」誕生に迫るドラマ。写真家で『ヘルタースケルター』などの監督を務めた蜷川実花がメガホンを取り、酒と女に溺れながらも圧倒的な魅力を持つ男の生涯と、太宰をめぐる正妻と2人の愛人との恋模様を描く。太宰には小栗旬がふんし、役作りのため大幅な減量を行った。太宰の正妻を宮沢りえ、愛人を沢尻エリカと二階堂ふみが演じる。
(yahoo映画より引用)

~あらすじ~
ベストセラーを連発する人気作家の太宰治(小栗旬)は、妻子がいながら作家志望の弟子・太田静子(沢尻エリカ)、夫を亡くした山崎富栄(二階堂ふみ)とも関係を持ち、さらに自殺未遂を繰り返すという型破りな生活を送っていた。そして太宰は、二人の愛人から子供がほしいと迫られる中、夫の才能を信じる妻・美知子(宮沢りえ)に支えられ、「人間に失格した男」をめぐる新作の執筆に取り掛かる。
(yahoo映画より引用)




堕落の作家 太宰治の迷い、葛藤、不甲斐なさ~
本作は太宰治の小説「人間失格」が生まれるまでの半生を描いたお話。
そこには太宰治という個人の「才能」ではなく「誰もが持つ人間の弱さと強さ」がありました。

 

太宰治を取り巻く「3人の女たち」です↓

 

・正妻 津島美知子(宮沢りえ)

主人の女性関係や夜遊びにも嫌な顔をせずに家庭を守る。

 

3人の子供を育てながら深夜に帰宅した太宰の世話までする献身的な妻。

 

太宰はそんな美知子を「献身的な作家の妻」として自身の作品「ヴィヨンの妻」のモデルにしたが、美知子はヴィヨンの妻だけでなく太宰の作品を一度も褒めてくれないという。

彼女はどんな心境で家庭を守り続けるのか、太宰の妻で居続けるのか、太宰との絆が描かれます。

 

 

・作家志望の弟子 太田静子(沢尻エリカ)

太宰の一人目の愛人

結婚や愛よりも「恋」がしたいと言い放つ。

彼女の日記にインスピレーションを感じた太宰は作品の執筆のために彼女に近づきます。

やがて関係を持ってしまい、「子供が欲しい」という彼女の要求に答えるかのように関係におぼれてしまいます。

 

 

 

・未亡人 山崎冨栄(二階堂ふみ)

太宰の二人目の愛人

夜の酒場で太宰と出会います。

兵役で夫を亡くしているためか、自殺願望を内に秘めています。

堕落した生活を送る太宰に自分と同じ匂いを感じ、関係を持ちます

やがて太宰が堕落していく一因となっていきます


3人の女性たちとの関係を通して堕落していく太宰

彼のカッコ悪さとカッコ良さ

女性たちの強さと美しさ

蜷川実花監督の「華麗表現」で良い具合に後味の悪くない形で描かれています。
蜷川実花監督の過去作、「ヘルタースケルター」はU-nextで見られます↓





 

~女性たちの強さとは?~


若干の
ネタバレも含みますが観賞に影響ない程度なので読んで頂いても大丈夫です。フラットな気持ちで見たい方は注意↓


サブタイトルに「3人の女たち」とあるのは観賞後はおおいに納得で、本作は女性たちの「強さ」がテーマになっていると感じます。

 

・静子の強さ、恋さえあればそれでいい

作家志望の静子は比類のない太宰の作品に魅せられており、太宰本人にも恋心を抱いていました。

「恋」というものを何よりも大事にして生きることを芯にしており、

「本当の恋をして生まれる子供が欲しい」

「どうして恋はダメで愛は肯定されるのか、自分は恋に生きる」

と語ります。そんな彼女に対して太宰はその強さに魅せられており、彼女の言葉に対して「君には敵わない」というような笑みを浮かべます。弱い人間である自分自身とは対照的な存在だと感じていたのでしょう。

太宰の子供を身ごもった後は彼に固執するでもなく、また出産後は明るい面持ちで子供を育てていく様子からも、静子の強さが描かれています。

 

 

・生への執着を捨てた富栄の強さ

冨栄(二階堂ふみ)は太宰と付き合い始めた当初から「一緒に死のう」と語り合っており、生きることに執着がありません。

それゆえなのか、太宰に家庭があることも理解した上で、「一緒にいてくれなければ死ぬ」と繰り返し彼に訴えることで太宰を自分につなぎとめています。


「目を離すと命を絶ってしまう」という危機感から太宰は彼女との関係をダラダラと続けてしまいますが、冨栄は深心ではそんなことは分かったうえで太宰を操っていたのでしょう。

一見弱い女性の典型のように見えて実はしたたかで、自分との関係で太宰が堕落していく様子にどこか喜んでいる節すらあります。

 

 

 

・妻・美知子の献身 彼女が黙して太宰を支える心境とは?


妻・美知子の献身ぶりは作中何度も繰り返し語られています。


太宰が女性と関係を持っていることを知っていながらもそれについては触れることなく彼を支え続けます。


いっぽう太宰もそんな妻を本当は大切に思っており、「ヴィヨンの妻」の読者に「そんな奥さんいるわけない、そんなの奥さんじゃない」とけなされた際にも相手に食って掛かっていますし、彼女が自分の作品を褒めてくれないことも繰り返しぼやいています。


物語の終盤に彼女がどんな思いで主人を支え続けるのか、その心情が語られます。

結核を患い,療養し家庭に戻るべきか、と弱気になる太宰に対して


「私たち(家庭)を壊しなさい、そうすれば書きたいものが書けるんでしょう?あなたはまだ凄いものが書ける」


そう語る彼女の言葉に太宰は駆り立てられ、人間失格を執筆する決意をするのでした。

誰よりも太宰の才能を理解し、作家としての太宰がどうあるべきか、そのために何を犠牲にしなければならないのか、太宰本人よりも分かっていたのですね

その後太宰が本当に家庭を壊した時、彼女は一度は涙を流すも自分を制し、子供を守り続けます。
3人の中で最も不幸な結末を迎える人物ですが、悲しみに耐える強さを持つ女性です。

 

 

~太宰の堕落は人間の弱さそのもの~

太宰は作品の執筆の苦悩と、3人の女性たちとの関係を通して堕落していきます。

では彼は異常者なのか、人間失格なのか

 

彼が堕落していくのは実は「人間として誰もが持っている弱さ」が繰り返されていくことが原因となっています。

・仕事がうまくいかないとき酒に溺れてしまう

・女性からの誘いに乗ってしまう

・相手がそれでいいと言っているのならいいか、という自己判断の放棄


太宰はこれらの繰り返しで堕落してくのです。


さらに言えば、これらは太宰の弱さ→女性たちの強さ→太宰の弱さの無限ループによって助長されていきます。


・恋が出来ればそれ以上の関係は求めないという静子

・いずれは死ぬのだから不道徳な関係でも構わないという冨栄

・放蕩な太宰に対していつまでも献身的な美知子

 

太宰は女性たちの強さに甘え、流されるままに自制心を無くしていくのです。

普通の人ならばどこかで「自我」や「堕ちていく恐怖」を感じて踏みとどまるのでしょう。


しかし太宰は堕落しました。


一人の女性ではなく3人もの女性と関係を持ったことで、その強さを前に踏みとどまる間もなかったのかもしれませんね。

 

 

 

~本当は弱くなかった太宰 人間失格を書き上げる決意~


美知子の言葉で自分が作品を書き進められなかった本当の理由を悟った太宰は

「全部ぶっこわして書く!」ことを決意

人間失格」である自分について小説にするためには

・家族や家庭

・社会的な評価

・健康的な体

・そして自分の命

全て壊したいように壊すことが必要だったのです

 

女性たちの強さに引っ張られそれらを壊すことで人間失格を書き上げた太宰、最後の最後で自身の「強さ」を取り戻すことが出来たと言えますね

 

~エンディングのスカパラ&チバユウスケ~

ポップな音楽でエンディングロールとすることでモヤモヤするはずのお話がなぜかハッピーエンドのように思えてきます

 

堕落の太宰も、3人の女性たちも、その魅力をしっかりと描いてくれた映画でした。




蜷川実花監督の他作品はこちら↓








ひねくれてtonight ~ひねくれサラリーマンによる映画レビューブログ~

このブログは 映画好きな私がレビューを紹介し皆さんが
「今夜見る映画」
を決める一助となれればと思い立ち上げました

今はまだ記事数も少ないですが、観賞した映画はすべてレビューにしていきたいと思っていますので、
「久しぶりにTUTAYAで何か借りたい」
「prime videoに入会したから色々映画を観たい」
など、おススメ映画を求めている時に訪れて頂けると嬉しく思います。



筆者のプロフィール
30代に突入したサラリーマン
理系人間ですが、映画や小説などのエンタメは大好きで、感激屋な面があります。
もともと映画に関しては批判的な感想は持ちにくい性格で、

・作成者の皆さんがどんな所をこだわったのか
・どんな風にこの映画を楽しめるか

といったことに着目するタイプです
辛口な映画批評ではなく「それぞれの映画の良さ」を伝えていけるように努めていきます。

では今日から皆さんの映画NAVIとなれるよう、頑張らせていただきます。




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